税理士後継者探しの新常識

2024.7.24
税理士後継者探しの新常識

近年、税理士事務所の後継者問題は深刻です。日本国内における「少子高齢化」が影響していることはもちろんのこと、2023年に受験資格が緩和されるまで減少を続けていた「税理士試験受験者数の減少」、「インボイス等の税理士需要の拡大」などを要因として、後継者がいない、見つからない状況が続いています。後継者を手っ取り早くみつける方法はないのでしょうか。ここでは、もうあたりまえになった後継者不足、人手不足の原因については説明しません。すぐに後継者をみつけたい先生に、新しい常識となる後継者の探し方をご紹介します。

税理士はなぜ後継者を探すのか?

税理士が残したい3つのもの

なぜ、あなたは後継者を探していますか?たしかにあらゆる業界で後継者不足となり、中小企業のM&Aも年々増加しています。ただ、税理士の言う”後継者”と中小企業の経営者が言う”後継者”では少し意味合いが違うようです。一般的に後継者というと、跡継ぎ、承継する という意味になり、会社を承継する方法としては、おおまかに「親族に跡を継がせる」、「社員に承継する」、「外部の経営者に承継する」、「会社を外部に売る 」といった4つの方法があります。じつは、税理士事務所の言う後継者とは、「親族に跡を継がせる」「社員に承継する」の2つだけです。その理由は、税理士事務所には、3つの残したいものがあるからです。以下の「後継者に何を残したいか?」のアンケート結果にあるように①顧客 ②職員 ③不動産 の3つです。これからその3つの残したいものを解説していきます。

後継者に何を残したいですか?

顧客

100.0%

職員

89.2%

不動産

67.6%

(2024年4月 後継者を探している税理士事務所37事務所にアンケート)

残したいもの① 顧客

当然ですが、税理士事務所にとって、残したいものは収益源でもある顧客です。10年どころか20年以上の長年にわたって信頼関係を築いてきた顧客を手放したいはずがありません。その長年の苦労の見返りとして後継者に引き継いだあとも何%かの収益の一部をもらいたいと思うのも当然です。後継者を探されている代表税理士の方は高齢であることが多いように、顧問先の経営者も高齢であることが多いです。実際に、顧問先から後継者の相談を受けることも多かったのではないでしょうか。後継者相談に対応している手前、「自事務所が後継者に困っている状況は避けたい」、顧問先に「後継者がいないので解約したい」と申し出ることはできないと考えることは、長年税理士としての責任ある仕事をしてきた先生であればなおさらです。「後継者に何を残したいか?」のアンケート結果では、後継者に顧客を残したいと考えるは100%です。顧客との信頼関係を継続してくれる後継者を探しています。

残したいもの② 職員

後継者に残したいもの2番目は、職員です。苦楽をともにしてきた職員の将来を心配して、職員の雇用を維持しつつ税理士事務所を継続することを望んでいます。職員が税理士であれば、そのまま後継者として引き継げばいいのですが、案外税理士資格を持ってない番頭さんのような職員だったりします。そして、それなりの給与も支払っているのではないでしょうか。職員の給与などの処遇が変わることを恐れて、事務所の売却を断念している先生の話もあります。それを解決するため税理士法人の支店化という方法もありますが、結局代表税理士がしばらく残る必要があったりと、問題の先延ばしにしかなりません。職員とうまくやってくれる後継者を探しています。

残したいもの③ 不動産

後継者に残したいもの3番目は、不動産です。先のアンケートでも後継者を探している税理士事務所の60%が事務所を自己所有しており、後継者に賃貸したいと考えています。税理士は、地域に根ざした法律家、専門サービス業ですので、賃料負担をなくす、資産を残す、ブランド力を強化といった理由から事務所を自社ビルなど自己所有化される先生が多いです。しかし、いざ引退となった時に後継者がいない場合、自己所有の事務所はどうすれば良いのか悩まれることがあります。売却しようとしても住宅のようには買い手がつかず、賃貸したくても借り手もいない。いずれにしてもOA機器や備品は処分しなければいけない。そのように考えたときには、やはり後継者が必要ということになります。事務所を借りてくれる後継者を探しています。

後継者探しの新常識

税理士の後継者の条件

税理士が残したい3つのもの(①顧客 ②職員 ③不動産)を引き継げる後継者の条件はなんでしょうか?それぞれ以下のように整理してみましょう。

残したい
もの

後継者の条件

①顧客

・税理士事務所としての顧客対応経験
・会計ソフト

②職員

・職員から舐められない経歴
・職員をマネジメントするスキル

③不動産

・地域が近い、地元出身
・移転ができる

条件の一部ではありますが、このように整理をするとどのような人が、あなたの事務所の後継者にふさわしいのか分かってくると思います。
後継者の条件を明確にしたうえで、後継者探しをしましょう。

後継者の条件にあてはまる税理士はどこにいる!?

そもそも後継者の条件にあてはまる税理士はどこにいるのでしょうか。その前に、税理士有資格者であることは当然として、絶対には忘れてはいけない後継者の条件が一つあります。それは、「税理士として開業する覚悟」です。後継者に継がせる方にしてみれば、創業とは違い、顧客等を引き継ぐだけで収益を確保できるので、楽じゃないかと思いがちですが、引き継ぐ後継者自身にとっては創業(独立開業)と同義です。さらに承継するというプレッシャーもあります。あなたが創業時に苦労したように、後継者も苦労することになり、苦労しなければいけません。その「税理士として開業する覚悟」がなければ、親族である息子であっても後継者にはなれないでしょう。実際に、承継の土壇場になって「やっぱり継ぎたくない」といったことがあるのは、それが理由です。では、あらためて「税理士として開業する覚悟」を持っていて、先の後継者の条件にあてはまる税理士は、どこにいるのでしょうか。それは、「新規開業税理士」です。

後継者探しの新常識

これまでの後継者探しは、昔からの税理士仲間からの紹介、税理士会、人材紹介会社、事業承継の仲介会社といった方法があります。実際に利用されているかもしれませんが、あなたの後継者の条件にあてはまり、「税理士として開業する覚悟」をもった税理士は見つかりましたか?おそらく難しいと思います。その条件にあった税理士は、新規開業税理士だからです。新規開業税理士は、全国で年間2,000事務所以上開業しており、「税理士として開業する覚悟」は当然のごとく持っています。そして、独立できるほどのスキルや経験があり、30~40代と若い税理士が多いのも特徴です。自宅兼事務所でとくに移転に対しての抵抗も少ないです。こんなにも後継者としてふさわしい税理士はいません。ぜひ、新しい後継者探しの常識として、新規開業税理士に声を掛けることも検討してください。

税理士パートナーを使った後継者の見つけ方

税理士パートナーを使った後継者の見つけ方

税理士パートナーには、毎月50~150事務所の新規開業税理士が登録しています。あなたが求める後継者の条件を教えてください。その条件をふまえ、新規開業税理士に税理士パートナーの担当スタッフが一人ずつ声を掛けていきます。一斉メールやDM等で集めるわけではありません。個別に後継者の求める条件に該当するかどうか、新規開業税理士側の希望もヒアリングします。個別に声を掛けることで、確実に後継者候補を見つけることができ、声をかけた結果をフィードバックすることで、逆になぜ後継者がみつからないのかも分かります。

新規開業税理士を後継者とするためには!?

当然ですが、新規開業税理士に「後継者となってください」と言ったところで、「はい!後継者になります」とはなりません。後継者になるための引継ぎ期間がどうしても必要です。まずは、新規開業税理士の力量を図るためにも顧問先の1社を外注してみましょう。少しずつ様子をみながら、引き継いでいくことが大事です。また、あなたが事務所を自己所有している場合で、後継者に賃貸したいと考えているのであれば、すでにあなたと同じ地域に所在している新規開業税理士よりも、今は別のところで開業しているが、出身地があなたの地域である新規開業税理士と、できる限りご縁を持った方が良いです。いずれは実家のある地域に戻りたいと考えている場合もあるからです。まずは、あらゆる可能性を信じて新規開業税理士とご縁を持ちませんか?税理士パートナーはそのご縁をつなぎます。