若手税理士が独立すると年収はどう変化するか

2026.6.26
若手税理士が独立すると年収はどう変化するか

若手税理士は、業務経験の浅さ、業務の紹介を受けるための人脈が構築されていないこと等、独立には不安のある点が多くあります。
その税理士が独立をした場合、勤務税理士と比較をして、どのように年収は変化していくのでしょうか。そして年収の不安を払拭するにはどうしたら良いのでしょうか。ご紹介していきます。

勤務税理士の給与

税理士が独立開業を行う目的のひとつに、年収の増大があります。その目的の達成のためには、勤務税理士の月給よりも多く顧問料を得ることが必須となります。
まずは勤務税理士の給与を確認してみましょう。

勤務税理士の給与は、賃金構造基本統計調査によって知ることができます。賃金構造基本統計調査は、主要産業に雇用される労働者の賃金の実態を明らかにする統計調査です。

令和7年賃金構造基本統計調査
職種(特掲)、性、年齢階級、
経験年数階級別所定内給与額及び
年間賞与その他特別給与額(産業計)

企業規模 企業規模計(10人以上)
区 分 経験年数計 0年 1~4年 5~9年 10~14年 15年以上
所定内
給与額
年間賞与その他
特別給与額
労働者数 所定内
給与額
年間賞与その他
特別給与額
労働者数 所定内
給与額
年間賞与その他
特別給与額
労働者数 所定内
給与額
年間賞与その他
特別給与額
労働者数 所定内
給与額
年間賞与その他
特別給与額
労働者数 所定内
給与額
年間賞与その他
特別給与額
労働者数
千円千円十人 千円千円十人 千円千円十人 千円千円十人 千円千円十人 千円千円十人
公認会計士,税理士 557.91,338.71,993 390.5410173 437.9936535 482.61,546.8363 5601,867.7278 744.41,577.9643
    ~ 19歳 --- --- --- --- --- ---
 20 ~ 24歳 330.1314.4132 339.3057 323.3548.876 --- --- ---
 25 ~ 29歳 370.1901.4286 355.1213.845 358.81,054.3178 412.9959.763 --- ---
 30 ~ 34歳 463.31,116.9226 376.9533.541 509.21,003.569 467.21,425.891 463.71,254.125 ---
 35 ~ 39歳 498.71,611.6312 225.801 389.31,462.260 486.62,028.377 545.91,650.2135 534.8943.239
 40 ~ 44歳 590.41,631.5279 597.91,460.125 609.42,089.531 507.31,717.242 640.31,959.663 586.51,343.1119
 45 ~ 49歳 651.91,885.6254 --- 467.91,871.28 590.61,498.744 613.62,429.537 685.31,866.3165
 50 ~ 54歳 610.12,024.5263 --- 345.81,367.716 498.61,811.241 443.93,921.112 666.72,004.9193
 55 ~ 59歳 1,072.9827.2132 420.57415 610.6251.553 --- 297.3322.34 1,507.31,288.671
 60 ~ 64歳 965.2730.227 --- 524.7964 4126600 2857001 1,081.9857.422
 65 ~ 69歳 478.8392.538 --- 486.416.921 362.6707.23 --- 493872.714
 70歳~ 57044.243 --- 742.4021 194.24502 3351,176.81 435.514.420
企業規模 企業規模計(10人以上)
区 分 経験年数計 0年 1~4年 5~9年 10~14年 15年以上
所定内
給与額
年間賞与その他
特別給与額
労働者数 所定内
給与額
年間賞与その他
特別給与額
労働者数 所定内
給与額
年間賞与その他
特別給与額
労働者数 所定内
給与額
年間賞与その他
特別給与額
労働者数 所定内
給与額
年間賞与その他
特別給与額
労働者数 所定内
給与額
年間賞与その他
特別給与額
労働者数
千円千円十人 千円千円十人 千円千円十人 千円千円十人 千円千円十人 千円千円十人
公認会計士,税理士 462.1996.2671 497.315.541 360.6617.1207 387.2986.1151 457.51,163.477 621.51,544.6196
    ~ 19歳 21000 21000 --- --- --- ---
 20 ~ 24歳 285.843.112 295.8010 215.6344.31 --- --- ---
 25 ~ 29歳 341.281287 451.848.38 319963.965 379.4558.314 --- ---
 30 ~ 34歳 326.9849.875 222.22091 251.8618.428 333.9696.729 454.91,59216 265300
 35 ~ 39歳 422.11,118.1115 202.403 403.9728.914 404.21,137.851 4381,371.430 505.81,143.817
 40 ~ 44歳 556.31,228.987 925.9012 267.1547.210 4681,933.215 286.71,188.411 619.11,526.740
 45 ~ 49歳 595.41,678.771 --- 383.31,317.19 445.11,377.816 393.9468.54 718.81,990.242
 50 ~ 54歳 416.31,491.562 224.205 452.11,583.513 224.19644 296.4947.48 489.21,902.532
 55 ~ 59歳 761.156369 --- 1,018.442.58 369.9370.320 987.708 884.7936.533
 60 ~ 64歳 378.5170.280 --- 356059 221217.62 --- 461.6694.919
 65 ~ 69歳 289.71757 --- --- 2924500 --- 289.5155.26
 70歳~ 4335,7066 --- --- --- --- 4335,7066

参考: 賃金構造基本統計調査 / 令和7年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種

この調査結果をもとにすると、若手といわれる5年目未満の勤務税理士や勤務公認会計士の月給は、21万円から101万円と多岐に渡ります。
これらの金額以上の月々の顧問料を得て、はじめて目的が達成されるといえます。

顧問料=年収ではない

勤務税理士の給与以上に月々の顧問料を得ることが、年収の増大には不可欠ですが、例えば月々40万円の給料を得ていた勤務税理士が、月々45万円の顧問料を得られたとしても、年収は減少してしまいます。
勤務税理士とは異なり、独立後は事務所家賃や事務所の水道光熱費、広告宣伝費、会計ソフト利用料、税理士会費等の固定費のみならず、顧客との打ち合わせ費用や消耗品費等の変動費も自己負担となります。
顧問料からこれらの自己負担の事務所経費を差し引いたものを年収と考えて、勤務税理士との比較をしていくべきです。

独立後の年収の変化

独立開業後1年目の年収は、多くの人が勤務税理士よりも低減してしまいます。この理由は、事務所を構えるにあたり初期費用が嵩むことにあります。
独立して会計業務を行っていくためには、その事業を行う場所の確保、事業を行うための備品やツールの入手が不可欠です。
資金を抑えて開業をするには、事務所を借りずに自宅の一室で開業をする、中古の備品を購入する、格安の会計ソフトを使用する、広告宣伝は全て無料のSNSで行う等、様々な案はありますが、2年目以降に比較をすると、費用が多くなる傾向にあります。
また、独立前の経験の浅い若手税理士は、独立時に紹介等で引き受けることのできる顧客数が少ない傾向にあり、顧問料が多く得られないことがあります。費用面のみならず、収入面からも、1年目の年収は低減する傾向にあります。

独立後2年目の年収は、1年目の営業力によって左右されます。勤務税理士ではできない、自身の顧客を獲得するための営業が、独立開業1年目からはできるようになり、その成果が表れ始めます。
また、1年間しっかりと業務提供を行っていれば、既存の顧客の顧問料の値上げ交渉もできるようになります。
このように、1年目のような初期費用が嵩むという費用面の負担が軽減されると同時に、収入の増加が見込めるため、営業力の成果によっては、2年目は年収が増大する傾向にあります。

独立後3年目の年収の増大は、2年目と同様に営業を続けることで可能ですが、税理士のみならず、起業3年目は事業の分岐点となることが多いです。
1年目は独立に対する志や、新しい事業への期待からモチベーションが高く、2年目も昨年対比で月商を上げようとすることを目標にモチベーションを維持することができますが、3年目となると2年目を無事に乗り切ったことでの安堵感等により、モチベーションの低下、惰性で事業を行ってしまう等があります。
惰性で事業を行うのは、年収の停滞又は低減を招く要因となります。2年目と同様に、あるいは2年目以上に営業を行うモチベーションを保持するための動き、例えばセミナーに多く参加をして知識の刷新を図る、他の税理士と交流をして刺激を受ける等を積極的にしていくと良いでしょう。

年収を増大させるためには

年収を増大させるためには、顧問料の増大が必要不可欠です。費用面を削減しようとしても、削減には限度があります。費用面の削減よりも目を向けるべきことが、収入の増大つまり顧問料の増大です。
顧問料の増大には顧問料の増額よりも、まずは顧客数を増やすことが先決です。それ既存の顧客に値上げ交渉をすることで、顧問契約を解除されるおそれがあることから、顧問料の増額は年収増大の点においては諸刃の剣になりかねないためです。
顧客数を増やすためには、他の事務所とのサービスの違いと、顧客が欲しいということを積極的に伝えていくことが大切です。

自社の特色、他の事務所とのサービスの違いは、顧客がインターネットやSNSで多くの情報を顧客自身で収集できるようになった昨今では、わかりやすく明確に伝えることが必要です。
とにかく顧問料が安い会計事務所、とにかく処理が速い会計事務所、特殊な業界に特化した会計事務所、特定の税法に精通した会計事務所、会計そのものよりもコンサルタントに精通した会計事務所等、多種多様な事務所があります。

自身の得意なことをヒントにすることや、世間のニーズをくみ取る等して、自社の特色を打ち出し、積極的に伝えていくことが大切です。
また、顧客が欲しいということも、同時に伝えていくことが必要です。大衆に向けた広告宣伝を行うだけでなく、紹介を受けられる業務は無いかと他の税理士やマッチング会社に相談を行ったり、銀行や商工会議所で業務を募集していることを伝えたり、事業を行っている人との雑談で職を明かす等、自ら開示していくことが大切です。
会計事務所の看板を掲げているだけで顧客が増大する、ということは無いと言っても過言ではありません。業務そのものだけでなく、顧客獲得のために営業力が必要になるのが、独立税理士です。

まとめ

開業時に初期費用がかかり、年収が下がることあるのは、税理士に限らず独立開業をした多くの人が通る道です。
しかし、2年目以降の収入の増大を図るために必要な営業努力が、他の業種で独立開業をした人よりも、独立税理士は多く求められるかもしれません。

例えば、飲食店であれば、開業1カ月目に初めて来店した人が常連になり、2カ月目からほぼ毎週来店するようになれば、その人だけでも2カ月目の売上は1カ月目の4倍になります。その常連が他の人に店を勧めて翌日友達と来店すれば、更に売上は倍になります。
一方で税理士事務所の顧問料は、その顧客が事務所を気に入ったとしても翌月から倍になることは無いですし、顧客が他の人に勧めたからといって勧めた翌日に税理士契約を変更するということはありません。

このように、顧客の口コミや噂だけで、収入である顧問料が増大する業界ではありません。
よって、2年目や3年目の収入の増大には、他の事務所とのサービスの違いと、顧客が欲しいということを積極的に伝えて、顧客数を増やすことが必要不可欠であるといえます。