税理士独立の失敗例に共通する
5つのポイント

2026.7.17
税理士独立の失敗例に共通する5つのポイント

税理士報酬が充分に得られない、顧客が離れていく、資金繰りが悪化している等、独立税理士が廃業に向かってしまう失敗例には、共通するポイントがあります。
どのようなポイントがあるのか、ご紹介いたします。

営業の仕組化ができていない

税理士独立の失敗例としてよく挙がるのが、思うほど仕事を獲得できず、税理士報酬が充分に得られないことです。
仕事を獲得できずに失敗してしまった原因には、紹介に頼り過ぎてしまったこと、資格があることで自動的に顧客が問い合わせをしてくるであろうと考えてしまったこと等があります。
独立当初は、勤務していた会計事務所から紹介により契約を移す顧客や、独立を知って依頼をする顧客がいて税理士報酬があったとしても、人づてに紹介を受け続けることには限界があります。紹介が途切れた時点が税理士報酬の上限となり、それ以上の税理士報酬の獲得及び事務所の発展は望めなくなってしまいます。
このように顧客の獲得を紹介に依存してしまうことは、税理士報酬の増加が望めず、独立が失敗に至りやすくなってしまいます。

税理士報酬の増加を望むには、税理士自身での営業が必要となります。まずはホームページや事務所の看板の作成といった、事業内容を認知されるための窓口づくりが必要です。
ここで注意をしたいのが、ホームページや事務所の看板を作成することで、自動的に顧客が問い合わせをしてくるであろうと、以降の営業活動を怠ってしまうことです。
窓口があるだけでは、飛躍的な顧客の増加は見込めません。インターネットの普及により、顧客が税理士の情報を取得しやすくなり、選びやすくなりました。そのため、選ばれる税理士でないと、顧問契約の獲得は難しくなっています。

選ばれるような有益な情報を、事務所概要のみが記載されているホームページや事務所の看板といった窓口だけでは発信することができず、顧客から選ばれなくなってしまいます。
そこで必要なのが、窓口づくりだけでなく、ホームページが顧客に選ばれるような事務所の特色を発信する場であるように随時更新をしたり、SNSで継続的に発信したり、地域コミュニティに参加する等の営業の仕組化が必要です。
営業の仕組化が、継続的な新規顧客の確保及び税理士報酬の増大に寄与し、独立後の失敗を防ぐことができます。

報酬設定が低い

税理士報酬が充分に得られない原因は、顧客数の少なさだけではなく、その顧客ごとの報酬設定が低いことも挙げられます。
独立当初は実績作りのために安請け合いをしてまで顧客数を増やそうとしてしまうことが多くありますが、それは後々の事務所運営に大きな負担が生じます。

報酬設定が低いことで利益が出にくくなり、業務負担が大きくなった際にも人を雇うことができずに、ひとりで対処せねばならず、体力や精神力がもたずに廃業となってしまう恐れがあります。
業務負担が大きくなった際に、顧客への値上げをすれば良いと当初の報酬設定を低くする考えもありますが、報酬を高くする交渉に対してすんなり応じてくれる顧客ばかりではありません。
独立開業時の税理士報酬を適正価格にすることが、健全な事務所運営に寄与し、独立後の失敗を防ぐことができます。

事業計画が不十分

税理士報酬が思うように増加しなかった結果、資金が枯渇することの原因のひとつに、事業計画が不十分であることが挙げられます。
安定的な税理士報酬が得られるまでの創業期にかかる費用を少なめに見積もっていたり、新規顧客の獲得目標を明確にしていなかったり、計画に粗があるほど、資金繰りが悪化しやすくなり、廃業となってしまう恐れがあります。

税理士は、活動の結果を記録して税金を計算するという、数字の事後報告をする能力に長けていますが、一方で数字の事前予測には慣れていない場合があり、自身の事務所運営に係る数字については楽観的な見方をしてしまうこともあります。
独立開業時の緻密な事業計画が、当初の事業計画と照会することで事業の見直し及び資金繰りを考える際に役立ち、資金の枯渇による独立後の失敗を防ぐことができます。

事務所運営の仕組化ができていない

独立後に業務依頼が増えた際に陥りやすい失敗が、ひとりで業務を抱え込み顧客に十分なサービスの提供ができずに、顧客が離れていくことです。
独立以後暫くひとりで事務所運営を行い、徐々に業務依頼が増えていくと、自信がつき自己評価が高くなるものですが、それと同時に自身しかこの業務をすることができないというような感覚に陥ることがあります。 増えた業務を外注や従業員の雇用によって対応することに不安を感じ、これまでと同様にひとりで対処しようとしてしまうことがありますが、就業時間を増やすためには、心身の健康や家族との時間等、何かしらの犠牲が必要になります。

犠牲に耐えられなくなった際には、顧客に十分なサービスができなくなり、顧客が離れて行ったり、心身の健康を害したり家族の理解が得られずに廃業となってしまう恐れがあります。
増えた業務を外注や従業員の雇用によって対応することが、事務所の発展及び自身を犠牲にしない働き方ですが、外注や従業員の雇用についても営業と同様に仕組化が必要です。
外注や従業員の雇用を開始する際には、業務の役割分担のみならず、外注への報酬や従業員の就業規則等の諸条件を明確にして、関わる人たちが業務を遂行しやすくするような準備が必要です。

外注者や従業員が業務を遂行しにくいと感じ、すぐに人が離れていくような会計事務所では、業務をとりまとめる税理士の負担が増大してしまいます。また、外注者や従業員に顧客の窓口を担当させる場合は、頻回な担当者変更に対して顧客が不信感を抱きかねません。外注や従業員の雇用の管理を含めた事務所運営の仕組化が必要です。
独立後に業務が増加した際に、ひとりで対処せず事務所運営の仕組化をすることが、長く顧客に良いサービスを提供し続けることに寄与し、独立後の失敗を防ぐことができます。

契約が明確でない

税理士という立場で顧客業務を担う限り、税法上正しいサービスを提供する義務があり、誤りがあった場合の損害賠償とは隣り合わせです。
多額の損害賠償を負担することになった場合、事務所を運営するための資金が枯渇し廃業となってしまう恐れがあります。

誤ることが無いように、慎重に各顧客への対応をすることが最も重要ですが、万が一申告内容に誤りがあった場合において、どこに責任があるのか、またその責任をどのようなかたちで負うのかについて、顧問契約書で明らかにすることが、多額の損害賠償を負担することを回避する一助になります。
誤りがあった場合のみならず、日常的な業務範囲とその税理士報酬について等、顧客との取り決めは明確にしておくことで、不本意なトラブルを回避することができます。
契約が明確であることで、責任の所在が分かり顧客との問題解決がしやすくなり、独立後の失敗を防ぐことができます。

まとめ

独立税理士の個々の失敗例は様々ですが、このような共通した要因がある場合が多くあります。独立前に入念な準備をすると共に、独立後も事務所運営が廃業に向かっていないか定期的に見直しをしていきましょう。
ご参考になさってください。